長寿研究のいまを知る(14)老化は「44歳」と「60歳」で加速する
がんについても、腫瘍形成に伴って新生血管や血流不全が起こり、低酸素や栄養不足、低pHといったがん微小環境が形成される。この結果、転移や浸潤、治療抵抗性の増大といった現象が起こるが、その背後にはエピゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームといったさまざまな分子レベルでの変動がある。こうした多層的な分子変動の解析によって、がんの進行や治療の改善が期待される。
老化研究においても、国立長寿医療研究センターでこの手法が活用され、老化と疾患に関連するバイオマーカーの研究が行われている。マルチオミクス解析により、老化研究も新たな段階に入りつつある。(つづく)