腹痛を何度も繰り返すなら「大腸憩室炎」を疑え…命に関わるケースも
「憩室炎による腹痛の強さは、鈍痛から、もだえるほどの激痛まで患者さんによってさまざまです。憩室炎は通常40代以降で発症し、年齢が上がるにつれ罹患率が高くなりますが、近年は食生活の欧米化によって、若年層の20~30代で診断される方が増えています」
■虫垂炎と診断されて…
ある20代後半の男性は2年前のある朝、腹部の張りを感じ、下腹部にチクチクとした違和感を覚えた。翌日、自宅で友人らと夕食を取っていると突如、右下腹部に腸を締め付けるような激痛が走る。慌てて受診した近所の内科で虫垂炎と診断され、抗菌薬の服用で痛みは治まった。
ところが昨年冬、外出先で右下腹部の激痛と39度を超える発熱に襲われ、立ち上がることができなくなった。救急搬送された先で、採血と腹部CT検査の結果から大腸憩室炎と診断された。
「大腸憩室は、主に大腸の右下腹部から右上腹部にかけて伸びる『上行結腸』と、左下腹部にある『S状結腸』の2カ所に生じます。しかし、右下腹部には虫垂があるので、近くに憩室炎が起これば問診や触診だけでは区別するのが非常に難しい。患者さんの中には、何度も腹痛を繰り返すうちに、憩室炎が疑われ、採血や画像検査の結果から診断がつくケースも少なくありません」