腹痛を何度も繰り返すなら「大腸憩室炎」を疑え…命に関わるケースも
突然、もだえるような激しい腹痛に襲われると虫垂炎=盲腸を疑う人も少なくないだろう。ただ、いつもと違う腹痛が長引いたり、何度も繰り返すのであれば「大腸憩室炎」の可能性も高い。次第に良くなるだろうと事態を甘く見ていると、重大な合併症を招く危険がある。兵庫医科大学病院消化器内科主任教授の新﨑信一郎氏に聞いた。
「大腸憩室」とは、大腸壁の一部が外側に向かって風船のように袋状に突出してしまった状態を指す。
「食物繊維が不足した食事などが原因で便秘気味になると、便を押し出そうと腸管の内圧が高まって、腸壁の一部が外へ押し出されてしまうのです」
大腸憩室は日本人の約4人に1人が保有しているといわれ、決して珍しいものではない。
大腸内視鏡検査で偶然見つかるケースが多く、無症状なことがほとんどだ。
ただ、憩室のくぼみに便がたまった状態が続くと内部で細菌が繁殖し、炎症が生じて、腹痛、発熱、下痢、吐き気の症状を引き起こす。
この状態が「大腸憩室炎」だ。