マッサージで血流が良くなるとがん細胞が活発化するは本当か?
「がんについては速いスピードで研究・報告がされており、ひと昔前の常識が研究の結果、いまでは『その考え方は古い』となっていることも多い」と志茂院長。
たとえば、乳がんの治療でリンパ節を切除した患者の場合。リンパ液の流れが妨げられ、腫れや痛みがあるリンパ浮腫という症状が出ることがある。ひと昔前は、リンパ節切除をした方の腕で重い荷物を持つと、リンパ浮腫が起こりやすいとされていた。しかし、リンパ節切除を行った患者に重りを持ったウエートリフティングを行うランダム化比較試験が行われ、リンパ浮腫が増加しないことが証明された。
「これを受け、『リンパ節切除をした方の腕で、重たい荷物を持たないで』という指導は現在されないようになっています。『リンパ節切除をした方の腕に注射や点滴をしないように』が常識とされる時代もありましたが、こちらも研究報告があり、現在ではそう指導する医師は少なくなっているはずです」
志茂院長が担当する乳がん患者に禁忌として伝えるのは「喫煙」のみだそうだ。乳がんの治療は長い。それだけに治療のことだけで頭をいっぱいにするのではなく、日々のQOL(生活の質)向上も大切だ。