体に生えるカビの健康被害…全身に影響する口の中の対策が必要
真菌感染といえばカンジダ感染症が有名だ。カンジダは皮膚や消化器、膣などにいる常在の日和見菌。健康な時は無害だが、免疫力が落ちたりすると増えて炎症を引き起こす。
膣カンジダ症、食道カンジダ症、腸カンジダ症などがあり、多くは粘膜にとどまる表在性だが、中には体の深い場所に感染が広がり、死をもたらすものもある。
「とくに重要なのは、消化器の入り口となるお口の真菌です。増殖を放置すると、誤嚥性肺炎や口腔内疾患などを招く恐れがあります。口腔カンジダを発症すると、口の中が白い苔に覆われたり、赤くただれたり、痛みが出たりします。そうなれば抗真菌薬による治療などを受けることになります。しかし、高齢者の多くは自覚がないまま口腔内のカンジダ菌が増殖している。放置すると腸内細菌叢と同じで口腔内の常在菌の構成が変化して、従来の口腔ケアでは狙い通りの効果が上げられなくなります」
実際、口腔内にカンジダなどの真菌が繁殖すると、数種類の細菌との共同作用で粘着性のある強力な歯垢(バイオフィルム)や歯石が形成されやすくなる。