(8)スマートウオッチが医療の大改革を招く可能性がある
普段の血圧がどう変化するかは、実はほとんど分かっていないのです。ホルター血圧計という、24時間の血圧変化を記録する機器がありますが、昼間は30分間隔、夜は1時間間隔でしか測定しません。しかも対象となるのは、高血圧や脳血管疾患の患者に限られています。
ところがウオッチの血圧計が本格的に実用化されると、文字通り24時間連続で血圧をモニターできるようになります。そうして得られた「自然な」血圧の変動と、従来の血圧の基準のあいだにどんな関係があるのか、実は血圧の専門家にも分かりません。ウオッチによって、高血圧や低血圧の定義が変わってしまう可能性すらあり得るということです。
同様にウオッチによる心電図や心拍数の連続モニターも、いままでの循環器の常識を変えてしまうかもしれません。ホルター心電計は24時間連続で心電図を取ることができますが、不整脈や狭心症などの患者が対象です。ウオッチを使えば、大勢の健康な人のデータを集めることが可能になります。そこから、いままで知られていなかった、新しい病気が発見されるかもしれませんし、心臓を守るための生活習慣なども、いまよりも詳しく分かってくるでしょう。
医療にとっても、ウオッチは大きな変革をもたらすかもしれないのです。 =おわり