「狂犬病ワクチン」接種義務を猶予できるケースは? 体調や性格に合わせた対応も必要
こじれた皮膚炎の治療がうまくいかず、転院されたワンちゃんの飼い主さんが症状のほかにもいくつか質問されました。その中に狂犬病ワクチンに関するものもあって、「狂犬病ワクチンは、やっぱり接種しないとダメですよね?」とおっしゃったのです。狂犬病を起こすウイルスに犬やヒトなど哺乳類が感染して発症すると、ほぼ100%亡くなります。
とても怖い病気ですから、狂犬病予防法で飼い主さんには、犬の保健所登録と1年に1回のワクチン接種が義務づけられています。未登録、未接種の四国犬が子供などに噛みつく事件の報道で、転院された方もワクチン未接種が気になったのでしょう。
今回のワンちゃんは病院が苦手で、処置をすると私や助手に噛みつこうとする性格。元の獣医師さんは「接種せよ」の一点張りのようですが、いろいろな事情が重なって接種を避けるようになったようです。
実は、このワンちゃんはかつてワクチン接種後に体調が急変。救急病院で「ワクチン接種によるアナフィラキシーショックの可能性が高い」ことを告げられていました。この後遺症に加え、今回のような性格だと、飼い主さんは集団接種会場などでのトラブルを避けるため、自己判断で接種を避けることが少なからずあります。