シニア初心者向け「日帰り登山&温泉」コース5選 「温泉百名山」の著者が楽しみ方を伝授
地元で愛される名山と名湯
3.東篭ノ塔山と高峰温泉(関東甲信越)
登山口から50分ほどで山頂に到達できる、初心者向けの理想的なコースです。山頂は日本百名山が20座以上も見渡せる大展望台となっています。
高峰温泉は日帰り入浴が可能で、温泉の質も素晴らしい。温泉宿に前泊して早朝に出発するのもおすすめです。また、宿泊客は宿から登山口までの送迎車も利用でき、初心者が最初に挑戦する山としては最適です。
4.船通山と斐乃上温泉(中国地方)
島根県奥出雲にある船通山は、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治したという神話が残る霊山です。ここから三種の神器の剣が発見されたという伝説も伝わっています。
登山口から山頂までは約1時間半。山頂からは大山や中国山地の山々が一望できます。また、ゴールデンウイーク頃には山頂一帯がカタクリの花で埋め尽くされ、多くの人で賑わいます。
登山口の斐乃上温泉は、「日本三大美肌の湯」とも言われている名湯です。
5.大平山と明礬温泉(九州)
別府の背後に位置する大平山は、春には山焼きが行われる名山です。その形状から地元では「扇山」とも呼ばれています。登山口から1時間半ほどで山頂に到達でき、登山道からは別府市街と別府湾を一望。初心者でも気軽に挑戦できます。
裏側に下りると、別府八湯の一つである明礬温泉まで歩くことができます。別府の温泉は、日帰り入浴施設も充実しており、観光を兼ねた温泉登山を楽しめます。
これらの山はいずれも、その地方の象徴的な山であり、地元の人々に長く愛されてきた山です。
まずはこれらの山から始めて、徐々にステップアップしていってほしいですね。
(聞き手=いからしひろき)
▽飯出敏夫(いいで・としお) 1947年群馬県生まれ。約40年間、温泉と温泉宿に絞った取材・執筆活動を行う。年間100日以上の取材で訪れた温泉は3000湯以上。2011年に悪性リンパ腫を患うも克服。名湯のある名山100座を選定し、21年9月に踏査完結。22年10月に「温泉百名山」(集英社インターナショナル)を出版した。日本温泉地域学会会員、日本旅のペンクラブ代表会員、温泉達人会代表。今年10月に新刊「日帰りで登れる 温泉百名山」(同)を上梓。