シニア猫の「元気ない」「食べない」「吐く」は便秘を疑って
診断は簡単で、検査はほとんど不要。下腹部を触診して硬い便に触れ、ゆっくりと動かせたり、押しつぶせたりすれば確定。治療は、獣医師が手袋をして便をかき出す摘便です。その際、蠕動運動を促す薬を併用することもあります。頻発するネコちゃんでも、摘便に慣れると改善する可能性も十分です。
ネットで検索すると、浣腸や手術も書かれていますが、浣腸は便にまみれたお尻を洗うことが必要でネコちゃんのストレスになりやすく、私は勧めません。手術は緩んだ部分を切除してつなぎ直すもので、シニアには最もよくありません。
■お米やサプリメントで便を柔らかく
飼い主さんが気になるのは、この予防法でしょう。炊いたお米やサプリメントで便を軟らかくするとよいでしょう。サプリは「ラキサトーン」や「キャットラック」で、オリゴ糖がベースですから大量に与えても問題ありません。
シニアのネコちゃんがご飯をあまり食べなくなったら、便の回数をチェックしてみてください。朝と夜の1日2回が理想ですが、1回でも出ていればよいでしょう。その際は、便の硬さチェックも忘れずに。いつもより硬くなってきたら、前述のお米やサプリを検討してみてください。
ちなみに摘便の際、鎮静はしません。蠕動運動が抑えられるためです。摘便の刺激で力み、蠕動運動が進む程度によっては、便がどれくらいたまっているか予測でき、今後の治療方針の目安にもなります。
(カーター動物病院・片岡重明院長)