「この集落はなくなります」地震と豪雨で壊滅状態、80代元住民が嘆く厳しすぎる現状
「もうここには住めない」という悲痛な声が聞こえてきた。
まもなく発生から1年が経とうとしている能登半島地震。災害に脆弱な過疎地域を中心に大きな被害に見舞われ、消滅の危機にさらされている集落が少なくない。
石川県金沢市の中心地から80キロほど北に位置する、七尾市中島町河内の山間集落は、正月の地震による被害がとりわけ甚大だった。古い家屋が多いため大半が揺れで傾き、一目で再建が不可能だとわかるほどのダメージを負った。震災直後の1月11日に日刊ゲンダイ記者が集落を訪れた時は住民が全員避難しており、“廃村状態”と言ってもいいほどだった。
先月下旬、記者は同集落を再訪した。当時と同じで人けがなく、集落は静まり返っていたが、家の納屋にたたずんでいた80代の男性を見つけた。元住民だった。男性は集落の現状をこう話す。
「見ての通り、ここには誰も戻ってきていませんよ。自分も畑の様子を見に来ただけ。家を再建するお金もないし、もうあきらめました。生まれ育った場所だから寂しいけど、この集落はなくなります。もともと高齢化がひどかったから覚悟はしてましたが、こんなふうに終わるとは……」