<第17回>精神科医の言葉に目の前が真っ暗に
「このままではスケートどころか死んでしまうかも……」
母と相談し、初めて地元の精神科で診断を受けることを決めました。これまでの生活環境や食生活など、さまざまな角度から診断していただいた結果は……想像通りでした。「摂食障害」。いわゆる拒食症の一種でした。改めて病名を言われなくても、うすうすは感じていましたが、実際に専門医から病名を告げられると、目の前が真っ暗になりました。
病院で処方された薬は全部で6種類。向精神薬や血圧安定剤、栄養剤など、生まれて初めて口にするものばかりです。
「これを飲み続けてください。それでも体重が30キロを切るようになれば入院です。今から入院しても構いませんが……」
医師の「入院」という一言で全身に衝撃が走りました。
精神科での診察を受ける前から摂食障害の文献を読み漁っていた私は、拒食症の入院治療がどれほどのもので、どれくらいの時間がかかるのかを理解していました。長期化するであろう入院をしてしまったら、体重を増やし健康になることだけが目的になる。私はスケートに戻りたいという目標もありました。入院してしまったら二度とスケート界には戻れない。摂食障害の知識を身に付けていたからこそ、余計に悪い想像が膨れ上がりました。