41歳でなお進化 広島・黒田“新フロントドア”はどんな球種
6安打3失点と打たれた揚げ句、打球を足に当てられ三回途中でマウンドを降りた。それでも、広島の黒田博樹(41)の顔には充実感があった。
「ああいう球が増えれば幅が広がりますから」
そう振り返ったのが、三回に打者・浅村を見逃し三振に仕留めた1球である。内角のボールゾーンからストライクゾーンへ入る代名詞の「フロントドア」だったが、いつもとは球種が違った。他球団のスコアラーがこう言った。
「昨年まで右打者の『フロントドア』に使っていたスライダーではなかった。曲がりが小さく、球速があった。カットボールでしょう。昨年はカットボールをこういうふうに使うことはほとんどなかった。キャンプでは新球のチェンジアップを習得すると話題になっていましたが、このカットボールの『フロントドア』も打者からすれば新球。41歳になってなお、新たな球種、使い方を模索しているのだから、敵ながらすごいもんです」
日本球界復帰1年目となった昨年は11勝8敗、防御率2.55。地元を中心に「黒田フィーバー」を巻き起こしたが、4月からの3カ月に比べて、7月からの3カ月は成績が若干だが落ちた。前半は6勝3敗で防御率2.66だったのに対し、4勝5敗で2.70。「フロントドア」とその逆の「バックドア」が、打者の目に慣れられたような感じがあった。そんな小さなほころびを埋めるための、マイナーチェンジである。