稽古で大関横綱を最初から圧倒 豊山は“KY”なパワー自慢
時津風部屋 前頭3枚目
今場所は負け越しが決定も、稽古では強い。強いのだが、「角界の暗黙の了解がわかっていない面もある」とも言われていた。
「ルールというほどのルールでもないが、『稽古見学に来たファンなど大勢が見ている前では、下の者は上位力士に最初から本気でぶつかってはいけない』という、ややこしい慣例があるんです」
とは、あるベテラン記者。どういうことか。
「ぶつかり稽古で、大関横綱が『さあ、来い!』と下位の力士を指名する。その時点では、受ける側もまだエンジンが温まっていない。そこに力自慢の豊山が本気でぶつかっていくのだから、横綱といえど土俵の外まで一気にもっていかれる。それを大勢が見ている中で行えば、上位力士もバツが悪いし、何よりケガの恐れもある。つまり、ぶつかり稽古では最初は適当に当たるべし、ということです。兄弟子の正代はその辺りがうまい」
そうとは知らない豊山は出稽古に来た大関横綱も、景気よく吹っ飛ばしていた。これには時津風親方も思わず目をそらし、困惑することしきり。先輩の豊ノ島からも、「胸を出してもらっているんだから、少しは空気を読まないと……」と、注意された。最近は、ようやくその辺りの機微がわかってきたようだ。