著者のコラム一覧
津田俊樹スポーツライター

産経新聞記者として1992年アルベールビル冬季、同年バルセロナ夏季五輪を取材。運動部長、論説委員を経て、現在フリー。2019年に東京五輪開催をめぐる問題点を指摘する「ブレないスポーツ報道」(言視舎)を出版。

<3>悪質タックル問題の背後でうごめく「日本版NCAA」利権

公開日: 更新日:

■メディアは監視の目も強めるべき

 今回の件とスポーツ庁を連動させた記事を取り上げてみる。同庁は来春、全米大学体育協会(NCAA)をモデルにした大学スポーツの統括組織「日本版NCAA」創設を目指している。

 26日付の朝日新聞は「日大の対応が後手に回ったことは、大学が運動部へのガバナンス(統治)を発揮できていない現状を浮き彫りにしている」と指摘したうえで「部の統治を大学ができない以上、統括組織の関与が必要なことを示している」と日本版NCAA創設を促している。

 新組織に加盟するか、しないかは大学の判断に委ねられる。日米のスポーツ事情に詳しい関係者は「今まで関心が薄かった大学も今回の件をきっかけに考え直すのではないか」と分析、次のように注文をつける。

「日本版NCAA創設をビジネスチャンスととらえる企業には追い風になるだろう。ただ、莫大な資金が動き、利権が絡んでいる。新聞は安易に賛同するのではなく、監視の目を強めてほしい」


 そういえば、スポーツ庁の鈴木大地長官は、問題の映像にいち早く反応して「このタックルはいかがなものか」とツイッターに投稿。定例会見でも「安心、安全なスポーツ環境を整備していくことが重要」と語っていた。悪質タックル問題の背後で何かがうごめいているのかもしれない。その何かを暴き、赤裸々に伝えるのがメディアの使命である。

(つづく)

【連載】日大アメフト殺人タックル事件の深層

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に