<3>悪質タックル問題の背後でうごめく「日本版NCAA」利権
テレビが朝から晩までアメリカンフットボールを取り上げることなど、かつてあっただろうか。日大アメフト部選手による悪質タックル問題は関係者のキャラが立っていることもあり、ワイドショーにとって、いまや“お約束”のコンテンツになっている。問題のシーンの動画を見ながらスポーツ評論家が「春の定期戦は練習試合」と解説していた。秋のリーグ戦でもないのに、こんな蛮行をするなんて、という意味らしい。もちろん、どんな試合であっても許されることではないが。
「この人、分かってないなと思いました。われわれにとって、定期戦は公式戦です」(関学大OB)
東の日大、西の関学大、名門校同士の定期戦は互いをリスペクトして行われてきた。裏切られた思いの関学大は「信頼関係が崩壊した」として来年以降、中止すると発表。伝統の定期戦の相手校は明大のみとなった。
テレビ局はアメフトへの関心が薄かったのに衝撃的な映像に飛びつき、試合を見たこともないタレントのコメントを放送する。“腰の軽さ”がテレビ局の特徴とはいえ、真相に迫ることにはならない。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に先行された新聞は追いつこうと、もがいている。