武田薫
著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

テニス協会はバインをナショナルコーチに招聘したらどうか

公開日: 更新日:

 大坂なおみのコーチ解任には驚いた。サーシャ・バインと二人三脚でグランドスラム2連覇を達成、わずか2週間後の決別だけに、衝撃は大きい。野球で言えば優勝直後の監督解雇だ。そう言われれば、優勝したチャンピオンの喜びには逡巡があった。全豪のセンターコートは壁が高く、家族席には登れないが、カメラマンの脚立から手を伸ばして祝福を受けるのは可能。それもなかった。

 まあ、それは後になっての戯言。栄光がサーシャ、トレーナー(アブドゥル・シラー)とのチームによって成就されたことに疑いを挟む余地はない。ずぶの素人の父親に育てられた選手をコートに誘い出し、基礎を教え、シラーと協力して体をつくり、スピードをつくった。

 解任の引き金はメジャー優勝の重みだろう。コーチ経験の浅いサーシャの役目は終わり、戦術を固める次の段階に進む――こと大坂なおみに関して、もはや陣営だけの話では片付けられない。

 セリーナ・ウィリアムズ以降、グランドスラムでの連続優勝はなかった。セリーナが今年38歳。連覇の瞬間に21歳の大坂は新時代を担う宿命も背負い、いままで通り、仲良く楽しく練習とはいかない位置に立った……しかし、これは既定路線でこのタイミングでの事案ではないし、精神力がついたとの判断も早い。やはり、何らかの感情のもつれはあったのだろう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  2. 2
    小池知事は焦るとムキに…都知事選で「失言ループ」に突入 不安的中の陣営は戦々恐々

    小池知事は焦るとムキに…都知事選で「失言ループ」に突入 不安的中の陣営は戦々恐々

  3. 3
    なぜ大谷はオールスターで「最多得票」を取れないのか…圧倒的成績を残しながら首位と26万票の大差

    なぜ大谷はオールスターで「最多得票」を取れないのか…圧倒的成績を残しながら首位と26万票の大差

  4. 4
    女子プロの所属契約にまで協会が口出し…昨年末に全会員へ送り付けた文書の衝撃の中身

    女子プロの所属契約にまで協会が口出し…昨年末に全会員へ送り付けた文書の衝撃の中身

  5. 5
    HR独走中のヤクルト畠山 “札付き問題児”が“孝行息子”に

    HR独走中のヤクルト畠山 “札付き問題児”が“孝行息子”に

  1. 6
    ヤクルト畠山コーチが突然の退団 原因は金銭トラブルか…水原一平事件では「畠山は大丈夫か?」との声が

    ヤクルト畠山コーチが突然の退団 原因は金銭トラブルか…水原一平事件では「畠山は大丈夫か?」との声が

  2. 7
    大谷の「ホームランダービー」は見納めか…心身の負担を考慮すれば今回がラストチャンス

    大谷の「ホームランダービー」は見納めか…心身の負担を考慮すれば今回がラストチャンス

  3. 8
    もう「草サッカーのレベル」なのに…キング・カズ「還暦プロサッカー選手」に現実味

    もう「草サッカーのレベル」なのに…キング・カズ「還暦プロサッカー選手」に現実味

  4. 9
    フジテレビ起死回生の秘策?「古畑任三郎」復活プロジェクトに挙がる主演候補5人の名前

    フジテレビ起死回生の秘策?「古畑任三郎」復活プロジェクトに挙がる主演候補5人の名前

  5. 10
    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり