ロッテ1位・佐々木朗希<1>野球経験なしの父が放った本塁打
岩手県大会決勝の花巻東戦で、故障を防ぐために登板を回避。試合後、「投げたい気持ちはあった」と悔しがる表情をテレビで見て、ああ、3年前も同じような顔をしていたなと思った。
朗希は中学3年の8月、KWB東日本大会(函館・千代台球場)に出場。強豪・埼玉スーパースターズとの最終戦、勝てば全国大会への出場が決まるという試合で、満を持して先発した。故障明けだったため、首脳陣は抑えを任せることが多かったが、最速141キロをマークするまでに成長していた朗希に、大一番を託したのだ。
しかし、相手が一枚上だった。三回までに4失点。当時の監督・鈴木賢太さんがベンチにいる朗希を呼び、「ここで終わりな」と降板を告げた。
ところが、朗希は「まだ投げたいです!」と強い口調で続投を直訴。大会期間中、ベンチで大きな声を出し、仲間を鼓舞するほど野球にのめり込んでいた。打たれて気持ちが萎えるどころか、負けず嫌いの本性をむき出しにしたのだ。
「これ以上やってもケガをするかもしれない。他の投手に投げさせて、経験させた方がいい」