元参謀が見た“勝負師”野村克也 日本Sで執念のイチロー封じ

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 巨人の長嶋(茂雄)さんや王(貞治)さんにはライバル心をむき出しにし、人一倍負けず嫌いな人だが、一方で、隣のおっさんみたいな親しみやすさがある。そのギャップが魅力でもあった。

 野村さんは69年11月に兼任監督に就任。8年間でリーグ優勝1回。日本一にはなれなかった。現役引退後、9年間の評論家生活の中で知識を蓄え、経験を整理し、89年にヤクルトから監督に招聘された。54歳だった。

 ヤクルトのマネージャーになっていた私の目には、34歳で監督になった南海時代のギラギラしたようなものはまったく感じられなかった。

「監督1本で勝負してみたい」

 ヤクルトでその願いがかなった野村さん。マネージャーの私は車の送迎をやっていたが、2軍監督、1軍総合コーチにまで引き上げてくれた。

「恵まれた戦力」と胸を張れないチームでもどう戦い、相手を負かすか。常に研究を怠らず、あるときはマスコミをも使って相手選手を挑発、攻撃した。


 95年のオリックスとの日本シリーズでは、2年連続首位打者(同年は打点、盗塁王)のイチローが標的だった。勝利のために、イチロー封じは絶対条件だった。

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