12球団損失1400億円で契約に影響…今オフ嵐が吹き荒れる
「今年の契約交渉はかなり揉める可能性があります」
関大名誉教授の宮本勝浩氏(理論経済学)がこう言った。
宮本氏は先日、「2020年のプロ野球の経済的損失」のリポートを発表。プロ野球は今季、コロナ禍により試合数が120試合に縮小。無観客で開幕するなど、球団収入の柱となっている観客動員数が大幅に減る。観客動員の上限が最大収容人数の50%のままシーズンが終了すれば、今季の12球団の売上総額は前年と比べて約1423億円の損失になると分析(パのCSを除く)。1球団平均で120億円もの赤字を抱えるというのである。
■赤字解消に数年
宮本氏が続ける。
「DeNAの南場オーナーは『かつてない危機的状況』と発言するなど、オーナー側からも厳しい声が上がっている。プロ野球は入場料収入が大きな柱。例年、巨人や阪神のように年間300万人を動員する球団はだからこそ儲かる。しかし、このまま行けば今年はどの球団も大赤字を抱える。例年、年間の観客動員数が100万人台と規模が小さい球団は、さらに厳しい経営状況に追い込まれます。プロ野球の球団は米大リーグのように、放映権料の分配金はなく、人件費(選手年俸)が収入の半分を超える球団も多い。そもそも大きな収益を上げづらい構造になっている。今季の赤字を取り戻すためには数年かかるでしょう」
実際、DeNAは保有していた陸上のランニングクラブを今年度限りで解散することを決めた。しかも、コロナ禍は終息の兆しが見えず、来季も通常通りの開催ができるかどうかも不透明だ。
「球団経営がかなり厳しい状況に追い込まれていることは間違いありません。これは、今オフの契約更改にも影響するはず。今季の試合数が120に縮小され、勝利数や本塁打数など積み重ねる数字に関しては少なくなりますが、契約更改の席で例年の成績を持ち出され、『成績が落ちている』と減額提示されるケースも考えられます」(宮本氏)