サイヤング逃すダルの着地点 移籍ならドジャースかメッツ

公開日: 更新日:

 カブスのダルビッシュ有(34)が、メジャーで最も活躍した投手に贈られるサイ・ヤング賞を逃した。

 同賞は米国の記者投票によって決まる。日本時間12日、結果が発表され、ダルは1位バウアー(レッズ)の201に次ぐ123ポイントを獲得してナ・リーグ2位。今季は12試合に登板して8勝3敗、防御率2・01、93奪三振、自身初の最多勝を獲得していた。ダルは13年に続く同賞2位で、約1億500万円を手にする契約だ。

 ツインズの前田健太(32)は今季11試合に登板して6勝1敗、防御率2・70、80奪三振。ア・リーグの候補3人に入ったものの、2位落選。アはインディアンスのビーバー(25)が1位票をすべて獲得して受賞した。

■来オフに備えたカネの問題

さて、サイ・ヤング賞を逃したダルには今オフ、トレード話が浮上している。

ダルはカブスと2018年から6年契約を結んでいて、来季以降、年平均約20億円の契約が3年間残っている。サイ・ヤング賞を争ったバウアーは今オフ、FAになって年平均30億円規模の大型契約が予想されるように、彼らクラスの先発が年20億円ならお買い得。しかも、来季から3年間、雇えるだけに、他球団のGMの格好のターゲットなのだ。

費用対効果がバツグンなのはカブスも一緒。エースクラスをあと3年、年20億円で残せれば御の字だし、エプスタイン編成本部長も「ダルとヘンドリクス(今季6勝5敗、防御率2・88)の先発二枚看板と長期契約を結んでいることは大きい」という趣旨の発言をしている。

しかし、「カブスは独自の事情を抱えていますからね。エプスタインの発言をうのみにはできない。ダルを放出する可能性は否定できません」と米特派員のひとりがこう続ける。

「リゾ、バエス、ブライアント、シュワバーら主力野手が来季終了後、FAになる。つなぎ留めておくには莫大なカネがかかるだけに、資金を蓄えておきたいのですよ。それにエプスタインの思惑も大きい。彼はレッドソックスとカブスでワールドシリーズを制した実績の持ち主。データ重視のチーム編成でカブスを常勝球団にするつもりでしたが、マイナーにはこれといった若手有望株がほとんどいないのが実情です。なので34歳とベテランながら価値のあるダルをいまのうちに放出、代わりに他球団の若手有望株を何人か獲得するプランを温めているといいます」

資金力と若手有望株

 ダルにはトレード拒否権がある。契約で12の球団への移籍を拒むことが認められているが、それ以外の球団や本人の承諾があればトレードは成立する。ダルが移籍する可能性のある球団はどこか。

ドジャースとメッツでしょう」とはア・リーグのあるスカウトだ。

「今年のワールドシリーズを制したドジャースはマイナーに若手有望株がひしめいていて、なおかつ資金力がある。カーショーを筆頭にメイ、ウリアス、ビューラー、ゴンソリンと先発は豊富ですが、ここは故障を見越して先発ローテに余裕をもたせている。このオフはカーショーに続くエースクラスを欲しがっているとも聞きました。メッツは新オーナーで大富豪のスティーブ・コーエンが、3年以内のワールドシリーズ制覇を目指して大補強を示唆しています。ダルを獲得すれば、デグロムと並ぶメジャーでも最強の先発2本柱になりますからね」

 右肘靱帯を再建するトミー・ジョン手術から5年が経ち、名実ともにメジャーを代表する投手になったダルの今後からいよいよ目が離せなくなった――。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    大谷の今季投手復帰に暗雲か…ドジャース指揮官が本音ポロリ「我々は彼がDHしかできなくてもいい球団」

  2. 2

    センバツVで復活!「横浜高校ブランド」の正体 指導体制は「大阪桐蔭以上」と関係者

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希の肩肘悪化いよいよ加速…2試合連続KOで米メディア一転酷評、球速6キロ減の裏側

  4. 4

    PL学園から青学大へのスポ薦「まさかの不合格」の裏に井口資仁の存在…入学できると信じていたが

  5. 5

    阪神・佐藤輝明「打順降格・スタメン落ち」のXデー…藤川監督は「チャンスを与えても見切りが早い」

  1. 6

    ソフトB近藤健介離脱で迫られる「取扱注意」ベテラン2人の起用法…小久保監督は若手育成「撤回宣言」

  2. 7

    巨人・坂本勇人2.4億円申告漏れ「けつあな確定申告」トレンド入り…醜聞連発でいよいよ監督手形に致命傷

  3. 8

    「負けろ」と願った自分を恥じたほどチームは “打倒キューバ” で一丸、完全燃焼できた

  4. 9

    巨人・坂本勇人は「最悪の状態」…他球団からも心配される深刻打撃不振の哀れ

  5. 10

    佐々木朗希よ…せめてあと1年、吉井監督の下で準備期間を過ごせなかったのか。メジャーはそんなに甘くない

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  3. 3

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    大河ドラマ「べらぼう」の制作現場に密着したNHK「100カメ」の舞台裏

  1. 6

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  2. 7

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  3. 8

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  4. 9

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  5. 10

    トランプ関税への無策に「本気の姿勢を見せろ!」高市早苗氏が石破政権に“啖呵”を切った裏事情