レスリング協会副会長が降格…団体を牛耳る役員“不正の根”
ある団体幹部は自身が経営する会社を競技団体と随意契約させ、競技で使用する用具や運搬用トラックなどを団体の経費で購入。スポーツ界でもコンプライアンス順守が求められる中、トップによる利益相反取引が平然と行われているのだ。
補助金などの不正受給も枚挙にいとまがない。選手、役員が不祥事を起こした団体はJSCなどからの助成金の減額、支給停止などの罰則が科される。資金力に乏しい団体では、運営資金を補助金に頼らざるを得ないため、不祥事を闇に葬るのも珍しくないそうだ。冬季競技の団体では、海外合宿中に殴り合いのケンカをした選手が骨折などのケガを負ったが、日本オリンピック委員会(JОC)には「練習中の負傷」と虚偽の報告をして、補助金の減額を免れたことも。
海外遠征や合宿を私的な旅行に悪用するケースもある。指導者ではない団体幹部が、帯同を名目にして合宿地である常夏の島で豪遊しているのは有名な話だ。
「団体幹部による不正が一向になくならないのは任用に問題があるからです。多くの団体では依然として現役時代の五輪や世界選手権での実績にこだわり、メダリストをトップに据える傾向がある。規模が小さい団体ほど、メダリストが引退後に権力を握るケースが少なくありません。トップに組織をまとめる指導力や適性などが備わっていないため、不正が横行するのです」(スポーツライター)
各競技団体は役員の見直しに着手した方が良さそうだ。