横浜の近藤監督「君が欲しくてトレードを申し込んでいる」
私の現役晩年、近藤昭仁さんが横浜で監督をしていたときのことだ(1993~95年)。
オフシーズンのイベントで大阪へ行くため、新横浜駅から新幹線に乗ろうとしたら、近藤さんとバッタリ会った。解説者時代によく声をかけてくれていた。こちらから挨拶をすると、近藤さんは独特の甲高い声で、こう話した。
「おう、西村じゃないか! 何号車や? ちょうどよかった。ちょっと話があるから、食堂車でお茶でもしないか?」
当時の新幹線にはまだ、レストラン風の食堂車があった。近藤さんが横浜の監督になってから、お互い会う機会がなかったから、久しぶりに野球の話でもするのかなと思っていた。
コーヒーを飲みながら少し世間話をしたあと、ふと近藤さんは私にこう打ち明けた。
「実はね、君が欲しくて、ロッテにトレードを申し込んでいるんだ」
私は思わずコーヒーを噴き出しそうになった。
「トレードですか!?」