今江敏晃を指導して気づいたコーチとしての接し方と反省
前回書いた西岡剛とともに、2010年日本シリーズでMVPになった今江敏晃も思い入れが強い選手だ。
PL学園から2001年ドラフト3巡目で遊撃手として入団。2年目の03年は二軍内野守備走塁コーチとして、内野守備を指導した。打球処理の際の下半身の使い方など課題はあったが、着実に力をつけていった。
その今江を指導していて気づいたことがある。
当時の私は、西岡を一喝したように、時に選手に厳しく接した。口うるさいと思われていただろうし、こちらの押し付けになっていた部分もあった。
ある日、個別で今江に守備指導した。私は「こうするべき」と自分の考えを一通り伝えた。しかし、私の中でどうも引っかかりがあった。今江とのやりとりの中で、本当にこちらの意図を理解しているのか、半信半疑なところがあったからだ。
今江はその後、仲の良い選手と会話をしていた。様子が気になり、一緒に話をしていた選手にさりげなく、今江がどんな受け止め方をしているかを尋ねた。ところが、今江は私が伝えた内容を全く理解しておらず愕然とした。伝わるものだと思って接したものの、自分の思い込みに過ぎなかった。今江本人がどんな考えを持って守備に取り組んでいるのか、きちんと話を聞いて確認した上で、それに合わせた指導をすべきだと反省した。