東京五輪酒類提供中止 組織委に判断委ねられた「委託業者」は困惑
「恥ずかしながら、寝耳に水でした。組織委さんが発表した酒類提供中止の件ですが、実は私どもも当日の記者会見で知った体たらくで……」
こう言葉を詰まらせたのは、スポーツ観戦にさらなる付加価値をもたせることを事業とするSTH Japanのマーケティング部の担当者だ。同社はセレブ向けに1枚600万円超の五輪チケットも販売する、組織委の委託業者でもある。
21日、大会組織委の橋本聖子会長は五輪会場の酒類提供について「現在の一般的ルールを鑑み、検討中」と発言。翌22日は丸川珠代五輪相が閣議後に「大会の性質上、ステークホルダーの存在がある」と言った。ところが、世論の反発が大きいとみるや一転。橋本会長は23日の記者会見で、突如として会場内での酒類提供中止を宣言した。
これはセレブ向けの高級チケット「ホスピタリティパッケージ」を販売するSTH Japanも無関係ではない。さまざまなプランが用意されるこのコースのパンフレットには「厳選されたシャンパン、日本酒、ビール」などの記載があった。そのため、会場の記者が「(酒類提供がなくなったことでチケット料の)一部返金などはあるか」と尋ねたが、会見の司会を務めた組織委職員は「委託した事業者が我々のチケットをもとに自ら展開しているものだから、どのように判断されるかは事業者に任せる」と、判断を委託業者に丸投げしたのだ。