稲葉監督「結束」掲げるも侍Jに意思疎通の壁…コロナ対策で“飲みニケーション”もできず
■コロナ対策の制約
しかしこの日(20日)、合宿2日目を終えた侍ジャパン内で、この意思疎通を巡る問題が浮上しているという。球界OBがこう話す。
「侍ジャパンは、東京五輪のプレーブックに準じたコロナ対策をとっている。選手、首脳陣、スタッフの外出禁止はもちろん、お互いの部屋の行き来にも制約がある。食事会場での会話は自粛せざるを得ず、いわゆる『飲みニケーション』もできない。稲葉監督は人間関係をつくりづらい環境に頭を抱えています」
実際、捕手の甲斐(ソフトバンク)は練習初日、「(投手陣と)なかなか部屋で話すことは厳しい。限られた時間や場所でコミュニケーションをとる必要がある。グラウンド内でしっかり話ができれば」と語っていた。前出のOBが続ける。
「プレミア12では秋山(西武=当時)と菊池(広島)がリーダー役を担った。秋山は故障で本番を辞退したが、2人は合宿中に頻繁に話し込み、率先してチーム内のコミュニケーションを活性化させようと努力した。今回、気心が知れた間柄の選手は何人かいますが、多くの選手はメンバーの腹の中や性格などがわからず困っている。稲葉監督や田中将大が選手として出場し、メダルなしに終わった08年北京五輪では、星野(仙一)監督ら首脳陣とベテラン、若手との間に野球観の違いを巡る深い溝ができ、チームは空中分解した。厳しい制約があるとはいえ、いかにしてチームを一つにまとめるか。これが金メダルのカギを握るでしょう」
初戦のドミニカ共和国戦(28日)まであと1週間。稲葉監督の手腕が問われる。