「選出すら危うい」侍J投手総崩れで東京五輪大ピンチ!
案の定である。
巨人の菅野智之(31)が8日に右肘違和感で登録抹消されたのに続き、9日には中日の大野雄大(32)が上肢のコンディショニング不良で二軍調整することになった。
プロ野球では日本代表クラスのリタイア、不調が相次いでいる。ソフトバンクの千賀滉大(28)は、試合中とはいえ左足首靱帯損傷、同守護神の森唯斗(29)も、左肘炎症で登録を抹消された。広島の大瀬良大地(29)も右腓腹筋挫傷で、二軍調整中だ。
さらに、阪神の西勇輝(30)、ヤクルトの小川泰弘(30)あたりも、故障こそないものの、昨季ほどの投球はできていない。
日刊ゲンダイは3月12日付の紙面で、各球団のエース級投手が昨季から続く「コロナ後遺症」に苦しめられていると報じた。
昨季はコロナ禍で開幕が6月に延期。約5カ月で120試合を戦う強行日程の中で、特に菅野や大野雄らフル回転した投手の多くに調整遅れが目立った。
評論家の高橋善正氏は「オフが例年より1カ月短い上に、今季は143試合が組まれている。千賀や西勇のように、多くのイニングを投げた投手は、昨季の疲労が今も体をむしばんでいるか、故障防止のために無理をしてはいけないと自制する意識が働いているのではないか」と指摘した上で、「キャンプで疲労回復を優先して体を追い込まなかった場合、数試合でバテたり、体のキレが良すぎて逆に故障を招くケースも考えられます」と話していた。
■楽天・田中将もイマイチ
昨年から無理を押して投げ続けている以上、故障や不調のリスクは当然高くなる。放送関係者が言う。
「このままでは、東京五輪に臨む侍ジャパンも、苦戦を強いられかねない。故障や不調で苦しんでいるのは代表の主戦クラス。選出すらできない事態も想定する必要がある。しかも、稲葉監督が期待する楽天の田中将は、ここまでの投球を見ても全盛期の勢いがない。優先的に選出される可能性がある19年プレミア12メンバーにしても、今季安定しているのはオリックスの山本、ソフトバンクの嘉弥真くらい。楽天の岸、ソフトバンクの高橋礼、DeNAの山崎らがさらに状態を上げてくれればいいのですが……」
大会中止ムードの高まり
日本は開催国であり、メジャーリーガーがほぼ出場しない大会だけに、金メダル候補との呼び声も高かった。しかし、最大の武器である投手力に不安があるようなら話は違ってくる。
もっとも、東京五輪の野球を巡っては、中国が先日、6月開催の最終予選の出場を辞退。コロナ禍に終息の兆しが見えず、世界中で大会中止ムードが高まりつつある。投手枯渇による苦戦は、杞憂に終わるかも……。