米女子体操シモーン・バイルス 性的虐待を受けたスーパースターの矜持
日本ではアスリートが政治的、あるいは社会的な発言をすると、「黙ってろ!」「アスリートのクセに!」などと中傷されるケースがあるそうだが、米国は逆。むしろ社会的にも認知されているアスリートだからこそ、積極的に発言するし、彼らはそれを責任の一端だと理解している。
「バイルスは先月、7度目の全米チャンピオンになった後、鎖骨付近にタトゥーを入れた。それは黒人女性詩人マヤ・アンジェロウの詩からとった“それでもまた私は立ち上がる”という言葉で、自分に対する自信、黒人としてのプライドを表すとともに、五輪個人総合で2大会連続優勝を狙う信念とも取れるものだ」
彼女は自身の五輪に関して、「東京で終わったとしても構わないわ。でも私は根っからのアスリート。だからやめた後、一体、何者になるのかしら? まだ答えを探しているところ」とも話している。“早く終わって欲しい”と願う今回の五輪が終わったとき、彼女はここ50年間現れなかった2大会連続個人総合優勝を果たし、女王の座に君臨し続けているのだろうか。
(米紙コラムニスト、ビリー・デービス)