【陸上】三浦龍司は類を見ない運動神経の人情家…日本人初の3000m障害入賞なるか
進学先は京都府にある陸上の強豪、洛南高校を選び実家を離れて寮生活を送った。スカウトしたのは陸上部の奥村隆太郎監督だ。中学1年時の三浦の走りを見た瞬間、確信に近い、大きな可能性を感じたという。
「実は三浦は短距離にも強いんですよ。ウチは桐生祥秀(東京五輪400メートルリレー代表)なども出すくらい短距離にも力を入れています。しかし、短距離を専門にした選手の中には三浦にかなわない子もいたほどです。それくらい強靱なバネと瞬発力がある。さらにハードルを乗り越える技術は日本国内で断トツ、世界基準で見てもトップクラスです。直前で加速して、着地も滑らか。まるで(高さ約91センチの)ハードルがあってもなくても変わらないのではと思わせる走りなのです」(奥村監督)
■自分よりチーム
三浦の魅力は走力だけではないと、奥村監督は続ける。
「ハキハキと明るい性格で友達も多い。卒業式では学年代表として賞状を受け取る役に選ばれたくらいですから、先生方の評判も良かった。情に厚くてですね、特に印象に残っているのは高3のインターハイ(IH)で本校が総合優勝した時。三浦は3000メートル障害を高校新で制した自分の喜びを口にする前に、まず出たのが『これで先輩に恩返しできた』という言葉でした。2年時のIH予選では失格になってしまい、チームの総合優勝を逃した後悔を1年間ずっと胸に抱えていたのでしょう。エースだった全国高校駅伝が不発に終わった時も、悔しいなどとは言わず『一緒にやってきた皆に申し訳ない』と、ずっと泣いていた。この大会は始まる前も『出られない人の分も僕が背負う』と意気込んでいたので……。それくらい責任感が強い男です」
予選を通って、日本人初の同種目入賞を目指す。