ヤクルトにあって阪神にない「勝ちたいんや!」の執念…燕ナイン必死、虎ベンチはまるでお通夜
天国の闘将は怒声を上げているはずだ。
2003年、阪神を率いて2年目の星野仙一監督はキャンプ前夜、全員の前で「俺は勝ちたいんや!」と言った。野村監督時代は腐っていた今岡(真訪=現ロッテヘッドコーチ)は、人が変わったように声を出し、泥だらけになった。広島からFA加入した金本知憲は人一倍練習し、全力疾走を怠らず、中堅・若手らの手本となった。金本はチーム変革の象徴だった。当時の阪神ベンチからは「勝ちたいんや」という気持ちがひしひしと伝わってきたものだ。18年ぶりの優勝は奇跡ではなかった。
16年ぶりの優勝を狙う今の阪神はどうか。マルテのホームランパフォーマンスやホームラン打者の首に金メダルをかけて盛り上がることはあっても、敗色濃厚になるとベンチはお通夜。プレーでチームを引っ張る選手は見当たらない。矢野監督といえば点が入れば喜んでいるだけ。劣勢を覆せず敗れた8日のヤクルト戦を見ても、ベンチから優勝への執念は感じられない。
一方のヤクルトは全員が声を出し、脚力がない助っ人も全力で走る。4番村上はこの日もベンチの最前列で大きな声を上げ、味方を鼓舞し続けた。5日の巨人戦では遊撃ゴロで気迫のヘッドスライディングで併殺を逃れ、三塁走者の青木が生還。これが決勝点。八回まで無安打からサヨナラ勝ちした7日の同戦も山田の遊ゴロの激走がサヨナラ勝ちを呼び込んだ。
優勝が遠のいた阪神は残り13試合。ファンが望んでいるのは最後まで諦めない熱い戦いだ。