「宇野ヘディング事件」星野仙一さんがクラブを叩きつけたのはエラーに怒ったわけではない
私はグラブを拾って「星野さん、グローブをお忘れです」と届けると、「グローブ? おう、そうか」と我に返った様子だった。
星野さんは八、九回も続投。1失点で完投勝利を果たしたのだった。
後に「プロ野球珍プレー・好プレー大賞」(フジテレビ系)の誕生につながったといわれ、「宇野ヘディング事件」として語り継がれることになる。
一方の宇野は「やっちまったなー」という感じで小さくなっていたが、引きずらないタイプで、翌日の巨人戦で本塁打を放つあたりは大したものである。
後で聞いた話では、連続得点記録を伸ばしていた巨人に対し、星野さんは同僚の小松辰雄さんと「どちらが先に巨人を完封できるか」を競い合っていたそうだ。
■後日「オカマ掘られたわ」と苦笑い
巨人は試合前の時点で連続得点記録が「158試合」続いていた。それを止められなかったことが悔しかったのだ。巨人の記録はその後、9月21日に小松が止めたのは皮肉だった。