「デートがあるから早く終わらせて」と頼むと桑田真澄は「任せてください」とニヤリ
「中尾さん、デートですか。いいですね。分かりました。任せてください」
桑田はこの時、高卒5年目。まだ20代前半だというのにアッサリと言った。
といっても、2年目から15、10、17勝を挙げていて、すでに斎藤と並ぶエース格だった。絶対的な自信がこのセリフを言わせていた。「ノミの心臓」と言われた斎藤とは正反対である。
■「こんなもんで良かったですか?」
桑田はいつもより明らかに速いテンポで投球。大量リードになったにもかかわらず夜の8時半には終了した。桑田は試合後、ニヤリと笑ってこう言うのだった。
「中尾さん、こんなもんで良かったですか?」
「おう、十分や。さすがやな」
「ありがとうございます。早く行ってください」
斎藤、桑田と「新3本柱」を形成していた槙原寛己と宮本和知の同学年の2人。さらに2学年下の水野雄仁を含めた3人が投手陣のまとめ役だった。