栃大海が救った名門部屋の危機…「未完の大器」がようやく覚醒へ
栃大海 雄(25歳/春日野部屋 前頭18枚目)
名門部屋の灯をともし続けられるか。
中学横綱の実績を引っ提げて相撲強豪校の埼玉栄に進学。王鵬や琴勝峰らと同期で、在学中は彼らより評価が高かった。
しかし、春日野部屋に入門以降は幕下で5年半も足踏み。何度もチャンスを逃し続けたものの、昨年3月場所後にようやく十両昇進をかなえた。
「以前は下半身が細く、パワーも不足。さらに押せないとすぐに引く悪癖もあった。不真面目な性格ではないが、自分を徹底して追い込めるほどの厳しさもなかったのが苦戦の要因です。それが徐々に体が大きくなり、転機となった極めつきが昨年の9月場所です」(ある親方)
十両2場所目の昨年7月場所で5勝10敗と負け越し、幕下に転落。そこにきて、9月場所後は部屋唯一の関取、十両碧山(現岩友親方)が引退することが決まっていた。
春日野部屋は1925年に横綱栃木山が興した名門で、35年以降は常に十両以上の関取が所属。9月場所で碧山が引退し、栃大海が十両復帰を果たせなければ、90年ぶりに関取不在となる危機に直面していた。