新庄日本ハム開幕4連敗…二軍は4連勝!「支配下登録67人」の大サバイバルがついに始まる

公開日: 更新日:

「札幌からはちょいまじめ」

 こう言って、29日の西武との本拠地開幕戦に臨んだ新庄剛志監督(50)は、試合前からヤル気マンマンだった。

 推定価格3000万円超の鮮やかなオレンジ色のオープンカー「マクラーレン600LT」で颯爽と球場入りすると、「どえらいことをやる」と予告していた開幕セレモニーでは、巨大ドローンを連想させる空飛ぶバイク「XTURISMO」(販売価格7700万円)に乗ってグラウンドの上空をホバリング。観客を大いに沸かせた。

■「乗り物だけで総額1億円のド派手なセレモニーのウラで…

 が、肝心の試合はこの日も精彩を欠いた。ソフトバンクとの開幕3連戦ではオープン戦さながらの選手起用だったが、この日は温存していたエースの上沢が先発。8回4失点と粘りの投球を見せたものの、打線は七回1死二、三塁の好機で近藤が一ゴロを放った際に走塁ミスが出てダブルプレーに終わるなど無得点。エースを見殺しにした。

 試合後、新庄監督は報道陣に対し、2万人を超える観衆が足を運んだにもかかわらず、「楽しい試合を見せられなくて」と悔しさをにじませつつ、「選手はこれを乗り越えてどんどん成長してほしい。まだ始まったばっかしやん。皆さんにはそういう気持ちで思ってもらえたら」と前を向いたが、この札幌3連戦からチーム内でのサバイバル競争が本格化する、ともっぱらだ。

■西武戦は一、二軍の入れ替えを行わず

 新庄監督は就任会見で、全ての選手に一度は一軍での出場機会を与えると明言。キャンプ最終日にも、「(一、二軍の)入れ替えはすごく激しくする1年にする」としたうえで、「調子がいい選手はもう使えるって分かるから。今度『ちょっと(二軍へ)移動してくんない』って。『見たい選手いるから』という移動は増えると思う」とした。調子がいい選手をあえて二軍降格させる可能性についても、「もちろん」とキッパリ言い切った。

 日本ハムの現在の支配下登録選手は67人。本拠地開幕戦のこの日は、先発の上沢を一軍登録した以外は一、二軍の入れ替えを行わず、ソフトバンク3連戦と同じメンバーで臨んだ。球団OBの話。

「新庄監督はキャンプ、オープン戦を通じて、選手の実力、適性を見極めていた。特に野手についてはある程度、お眼鏡にかなった選手が開幕一軍入りした。その意味では彼らにアドバンテージがあるし、結果を残し続ける選手をあえて落とすことはないでしょう。ただ、新庄監督は再三にわたって『全員を使う』と言っており、今すぐメンバーを固定するつもりはない。投手は先発かリリーフか、勝ちパターンの七~九回の投手は誰がいいのか、といった適性を見ながら、二軍の選手も呼ぶ。野手も、半月、1カ月とスパンを区切って実力を見極めていくはず。今のメンバーがケガなどで離脱した時はもちろん、調子が悪い時期が続いたり、何より新庄監督が嫌うチンタラしたプレーをしたりすれば、二軍の選手にも十分にチャンスがありますよ」

 実際、二軍では「今年一年はトライアウト」というビッグボスの言葉を信じ、選手が奮闘。この日の巨人戦に勝ち、開幕4連勝を飾った。先発の生田目が最速154キロをマークするなど5回1失点と好投。キャンプ中の故障で二軍調整中の野村も二塁打を放った。高浜、中島、石川直といった一軍経験が多い選手だけでなく、高卒4年目の田宮ら若手もアピールを続けている。

 もちろん、12人の育成選手も一軍入りに虎視眈々。西武とのオープン戦で先発し、開幕投手候補に挙がった姫野らが残り3つの支配下登録枠を狙っている。

コーチ17人も横一線

「横一線」なのはコーチも同じだ。新庄監督はコーチ陣に対し、「結果が出なければ、1年でクビになってください」と宣言している。コーチ人事はフロント主導とはいえ、球団周辺では、「シビアな新庄監督のこと。少なくともコーチ陣の間でも、シーズン中の一、二軍入れ替えもありうると考えているのもいる」との声が聞かれる。

■「100敗する」の嘲笑に怒り

 その一方で、新庄監督はこの日の試合前、自身のインスタグラムで、評論家の田尾安志氏のYouTubeチャンネルに怒りをあらわにした。

 この番組で田尾氏と、元広島阪神コーチの岡義朗氏、阪神OBの藪恵壹氏が順位予想。3人が笑みを浮かべながら今季の日本ハムを最下位と予想したことに対し、「笑いながら~ この御三方達の性格がなんか可哀想だなって思いました」と投稿。100敗を予想した阪神時代のチームメートである藪氏には、「薮氏は100敗らしい」「笑い方」と怒りの絵文字を付けて、書き込んだ。

 開幕から奇策を連発する新庄野球に対し、評論家諸氏は批判を繰り広げ始めている。外野の声が騒がしくなっても、新庄流を貫き、選手を鍛えるしかない。 

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    大谷の今季投手復帰に暗雲か…ドジャース指揮官が本音ポロリ「我々は彼がDHしかできなくてもいい球団」

  2. 2

    センバツVで復活!「横浜高校ブランド」の正体 指導体制は「大阪桐蔭以上」と関係者

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希の肩肘悪化いよいよ加速…2試合連続KOで米メディア一転酷評、球速6キロ減の裏側

  4. 4

    阪神・佐藤輝明「打順降格・スタメン落ち」のXデー…藤川監督は「チャンスを与えても見切りが早い」

  5. 5

    PL学園から青学大へのスポ薦「まさかの不合格」の裏に井口資仁の存在…入学できると信じていたが

  1. 6

    巨人・坂本勇人は「最悪の状態」…他球団からも心配される深刻打撃不振の哀れ

  2. 7

    ソフトB近藤健介離脱で迫られる「取扱注意」ベテラン2人の起用法…小久保監督は若手育成「撤回宣言」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    巨人・坂本勇人2.4億円申告漏れ「けつあな確定申告」トレンド入り…醜聞連発でいよいよ監督手形に致命傷

  5. 10

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が