著者のコラム一覧
生島淳スポーツジャーナリスト

1967年、宮城県気仙沼市生まれ。早大卒。広告代理店勤務後、スポーツジャーナリストとして独立。高津臣吾著「一軍監督の仕事」「二軍監督の仕事」(ともに光文社)の企画・構成を担当。「エディー・ジョーンズとの対話」「箱根駅伝 ナイン・ストーリーズ」(ともに文芸春秋)など著書多数。

(4)高津監督のプライドと慧眼「実は勝負の分かれ目は五、六回にやってくる」

公開日: 更新日:

 この厳しい状況で先発陣を支えたのは入団10年目の小川泰弘(32)だった。9月28日時点では8勝8敗と星は五分だが、勝負どころの9月に入っての投球は極めて安定し、27イニングを投げて失点は5。小川は先発の責任を十分に果たした。

 今季の小川は「モデルチェンジ」を図った。夏ごろから100キロ程度のチェンジアップを実用化し、簡単にストライクを取っていた。実績にあぐらをかくことなく、投球の幅を広げたことが成功につながっている。

 そしてブルペン出身の高津監督にとって、リリーフ陣の整備にはプライドがある。高津監督は昨年オフ、「今後、強いスワローズをつくっていくためにも(五、六回を任せる)『ミドルリリーバー』の充実を心がけていきたい」と話していた。

「長年、野球を見ていると、勝負の分かれ目は、実は五、六回にやってくることが多いのに気づきます。同点、あるいは追いかけている場面で、六回をどう乗り切るか。中盤のピンチをしのげれば勝つ確率はグンと上がるんですよ」

 この「ミドルリリーバー」で大成功を収めたのが慶応大を卒業して2年目の木沢尚文(24)だ。木沢は先発として期待されていたが、昨年の秋季リーグでは5回途中15失点の大炎上。先行きが心配されたが、今季からブルペンに転向。すると、威力のあるツーシームの制球力が増し、ピンチの場面で登板することが増えた。面白いことに、木沢が「消火」に成功するとその後に逆転することが多く、8勝をマーク。完全にブルペンに定着した。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    大谷の今季投手復帰に暗雲か…ドジャース指揮官が本音ポロリ「我々は彼がDHしかできなくてもいい球団」

  2. 2

    センバツVで復活!「横浜高校ブランド」の正体 指導体制は「大阪桐蔭以上」と関係者

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希の肩肘悪化いよいよ加速…2試合連続KOで米メディア一転酷評、球速6キロ減の裏側

  4. 4

    中日井上監督を悩ます「25歳の代打屋」ブライト健太の起用法…「スタメンでは使いにくい」の指摘も

  5. 5

    阪神・佐藤輝明「打順降格・スタメン落ち」のXデー…藤川監督は「チャンスを与えても見切りが早い」

  1. 6

    PL学園から青学大へのスポ薦「まさかの不合格」の裏に井口資仁の存在…入学できると信じていたが

  2. 7

    ソフトB近藤健介離脱で迫られる「取扱注意」ベテラン2人の起用法…小久保監督は若手育成「撤回宣言」

  3. 8

    巨人・坂本勇人2.4億円申告漏れ「けつあな確定申告」トレンド入り…醜聞連発でいよいよ監督手形に致命傷

  4. 9

    新庄監督のガマンが日本ハムの命運握る…昨季の快進撃呼んだ「コーチに采配丸投げ」継続中

  5. 10

    「負けろ」と願った自分を恥じたほどチームは “打倒キューバ” で一丸、完全燃焼できた

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に