【鼎談】釜本邦茂×六川亨×中山淳 森保日本W杯8強の可能性と優勝国を3人の論客がズバリ
カタールW杯でグループリーグ(GL)E組に入った森保ジャパン(FIFAランク24位)は23日にドイツ代表(11位)と初戦を戦い、27日にコスタリカ(31位)と一戦を交え、12月2日にスペイン(7位)と対戦する。ドイツ、スペインとW杯優勝国が「2カ国同居した」のはE組だけ。2014年ブラジルW杯でベスト8入りしたコスタリカも侮れず、ランク下位国と思ってナメてかかると手痛いしっぺ返しを食らう。世界各国メディアが「死の組」と呼ぶ激戦グループを森保ジャパンはどんな戦いで突破するのか? キープレーヤーは誰なのか? さらに優勝候補国はどこか? メキシコ五輪得点王のレジェンド釜本邦茂氏、元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏、元ワールドサッカーグラフィック編集長の中山淳氏が語り尽くした──。 (選手写真=©六川則夫)
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■釜本「伊東と久保の両再度アタッカーのパフォーマンスが勝敗の鍵を握る」
──初戦でW杯優勝4回の難敵ドイツと激突。ここで勝ち点ゼロに終わった場合、日本のE組突破は非常に厳しくなる。
釜本「苦しい展開は続くだろうが、引いて守っているだけでは、スコアレスドローに持ち込むことも難しくなる。局面に応じて誰が攻撃のスイッチを入れるのか、誰がシュートを放つのか? 絶対的な点取り屋が見当たらない分、日本の両サイドアタッカーのパフォーマンスが勝敗の鍵を握る」
六川「勝ち点ゼロだけは絶対に避けたい。最低でもドロー決着。そのためには<失点しない>ことも重要となる。英プレミアの舞台でCBと左右のSBを高いレベルでこなしているDF冨安をキープレーヤーに挙げたい」
■中山「GKシュミット神懸かりセーブに期待」
中山「ジャイアントキリングには、GKの神懸かりセーブが必要不可欠です。9月のドイツ遠征の2戦目エクアドル戦でGKシュミット・ダニエルがPKを封じるなど好セーブを連発した。第1GKの権田(清水)ではなく、初戦のドイツ戦にはシュミットを起用して<1996年アトランタ五輪でブラジル戦勝利の立役者>となったGK川口能活の再現を期待したい」
■六川「久保が変幻自在な攻めを見せてくれる」
──サイドアタッカーは右・伊東、左・久保で決まりでしょうか?
釜本「伊東のW杯最終予選の活躍はお見事のひと言に尽きる。2月1日のサウジとの最終予選で伊東は1G・1A。2-0の勝利の立役者となった。サウジ戦後の日刊ゲンダイのコラムに『3月で29歳。もう少し若ければ欧州5大リーグ入りもあった。W杯でゴールを決めればオファーが届くかも』と書いた。見立て違いを謝りたい。7月にベルギーから仏1部に移籍して主力として大活躍している」
六川「将棋にたとえるならば、真っすぐなら何マスでも進める<香車>として伊東が俊足を飛ばして突破を図り、2マス前方の右か左に進める<桂馬>として久保が局面に応じて前に、中にと変幻自在な攻めを見せる。タイプの違う2人が、胸のすくようなプレーを見せてくれるでしょう」
中山「9月のドイツ遠征2連戦で森保監督は4-3-3から<トップ下>を置く4-2-3-1の布陣に戻した。米国戦で<3>の左に久保、トップ下に鎌田、右に伊東を配して攻撃を任せ、この3人が躍動感のある好連係を見せた。森保監督は米国と戦いながら<この布陣でW杯を戦い抜くぞ!>と吹っ切れたのではないでしょうか」