ブラジルの英雄ロベカルを現地で直撃「コスタリカが勝ったんじゃない!日本が負けたんだ!」
トイレを探して走っているみたい
それなのに──。初戦でスペインに0-7と大敗したコスタリカは、日本相手に厳しい試合を覚悟していた。でも日本はその恐怖心につけ込むことができず、コスタリカはだんだん楽しくプレーできるようになってしまった。日本選手は焦るばかり。まるでトイレを探して必死で走っているみたいだった。コスタリカ戦後、再びロべカルに話を聞いた。
「残念ながら開幕戦と並んで、この大会最低の試合だった。こんな日本は見たくなかったよ。コスタリカの選手は日本を恐れ、守るだけだった。どうして日本は攻撃的にいかなかったのか。理解に苦しむよ。日本は前半に得点して彼らの息の根を止め、後半は試合を支配すべきだった。子供みたいな日本のミスから、コスタリカにゴールを決められた時は悲しかったよ。サッカーは実力通りの結果が出るスポーツじゃないけど、ここまで実力差が反映されない試合も珍しい。アルゼンチンやドイツなどのビッグチームが負けたのは、それなりの理由があった。でも日本は負ける理由なんて何もなかった。なのに勝ち点3を勝手に捨ててしまった。コスタリカが勝ったんじゃない! 日本が負けたんだ!」
ただ、ロベカルは今後も日本を注目していくって言っていた。
■サッカーは算数ではない
「日本は未来のあるチームだ。若くてスピーディーで勇気がある。今回は難しくても、これから伸びていくと思うよ」
次の相手スペインは最強チームの一つ。正直、厳しい戦いになる。「0-7で負けたコスタリカに0-1で負けたのだから、0-8で負けるだろう」なんて嫌なことを言う人もいるけど、サッカーは算数じゃない。
コスタリカ戦を教訓に日本らしいプレーを取り戻し、ロべカルを含めて新たに日本サッカーのファンになった世界中の人たちをガッカリさせないでほしいね。
▽翻訳=利根川晶子(とねがわ・あきこ) 埼玉県出身。通訳・翻訳家。82年W杯を制したイタリア代表のMFタルデッリの雄叫びに魅せられ、89年からローマ在住。90年イタリアW杯を目の当たりにしながらセリアAに傾倒した。サッカー関連記事の取材・執筆、サッカー番組やイベントで翻訳・通訳を手がける。「カカから日本のサッカー少年へ73のメッセージ」「ゴールこそ、すべて スキラッチ自伝」「ザッケローニ 新たなる挑戦」など著書・訳書多数。