カタールW杯は史上最も不親切な大会…道を知らないウガンダ人バス運転手と恐怖のドライブ
大会編①
ボンジーア!(こんにちは!)
いかにもお金がかかっていそうな開会式は見たかな? でもあの豪華さは、いわば「張りぼて」。その陰にはいろいろな問題が隠れているんだ。
W杯は10回目の取材になるけど、これほど不親切な大会は初めてだ。バスに乗るのも、水を買うのも、スタジアムの自分の席へ行くにも、案内が全然ない。そもそもプレスの専用入り口がどこなのか分からず、私と英国人記者は競技場を2周もしてしまった。目の前に巨大なスタジアムがあるのに、なかなか入れない。キックオフの時間は刻々と迫ってくるし、服は汗まみれ。もう泣きたくなったよ。
だけど、人手不足ってわけじゃないんだよね。赤と黒のシャツを着たスタッフはそこらじゅうにいる。ただ、彼らはそこに立っているだけ。何を聞いても「アイドンノー」の一点張りなんだ。それもそのはず。彼らの多くはインド、バングラデシュ、ケニアなどから、W杯のために連れてこられた労働者なんだ。スタジアムのことだけではなく、カタールという国のことさえ何も知らないんだ。
スタジアムの階段の踊り場ごとにモロッコ人の警官が立っている。でも、何かあったら助けてくれるというより、ボクたちを監視している感じ。アルコールを持ち込んでいないか、女性の肩はハダけていないか……。
母国を応援に来た元女子ウェールズ代表キャプテンは、LGBTQ(性的マイノリティーなど)をサポートするレインボーカラーの帽子をスタジアムの入り口で没収された。あるブラジル人記者は、虹色のシャツを着ていただけで35分、入り口で足止めを食らった。このシャツの色は、彼の出身州を表すカラー。政治的な意味は何もないんだけどね。