株式会社AIRECサービス社長 南竜次(1)甲子園優勝投手なんてプライドはなかった

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■灯油の巡回販売アルバイトで月収70万円

 灯油を積んだ車で、スピーカーで宣伝しながら決められた道を巡回するこの仕事の給与は歩合制。繁忙期の冬は朝7時に出社し、8時ごろにタンクローリーに乗り込む。順路の途中で灯油が空になったら、事務所に戻って補給し、中断地点から再開。仕事を終えて会社に戻るのは夜10時ごろで、そこから精算作業をすると、退社時には日付が変わっていたという。

「週6回の勤務でした。そんな生活を送りながら、引退後初めての冬を越しました。月収は70万円ぐらい。しんどかったけど、稼げたんです。この会社は冬に灯油を売り、夏はエアコンの設置を請け負っていた。だから、夏場は先輩の見習いとしてエアコン設置に付いていき、ノウハウを学びました」

 会社の業績は好調で、99年10月には名古屋支店がオープン。南氏にとっては願ってもない展開となった。

「現役時代から付き合っていた当時の彼女で今の妻は、名古屋に住んでいました。それまで、大阪から会いに行っていたので、本当にラッキーだと。名古屋支店の立ち上げメンバーに立候補して、正社員になった。支店の課長の肩書も付きました。店長と私の2人だけでしたけどね(笑)。ちょうどこの時期に結婚しました」

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