教え子たちが「元プロ野球選手」の肩書のみを重視する会社へは就職してほしくない理由
プロは厳しい世界です。脚光を浴びる選手はほんの一握りだけ。日の目を見ないまま、ひっそり球界を去る選手が大多数です。
これまで13人の教え子がプロ野球選手になり、当然、志半ばで引退した選手もいます。彼らから報告を聞く時は胸が詰まりそうになります。戦力外になった選手は息をつく間もなく、セカンドキャリアを模索しなくてはいけません。私は彼らにこう尋ねてきました。
「野球に携わる仕事か、まったく関係ないサラリーマン、どっちを考えているんだ?」
後者を選ぶ場合、“元プロ野球選手”という肩書はそれなりに需要があるそうです。例えば不動産会社や自動車ディーラーなどからは引く手あまただとか。現役時代のつながりから、かつての同僚への営業について、これ以上ないアドバンテージが働くでしょうから、もっともです。
個人的な意見ですが、“肩書”のみを重視している会社への就職はしてほしくありません。最初のうちはうまくいったとしても、いずれそのカードは通用しなくなる。毎年ヤマのようにプロから押し出される選手がいるのだから、次々と“代わり”も出現します。言葉を選ばずに言うと、好きな野球だけをやってきたような人たちが、その変化に適応できるのか。セカンドキャリアのスタートダッシュは切れたとしても、結局はつまずいてしまうのではないかと心配なのです。