日本のアスリートと「向学心」に雲泥の差…《エリート選手に勉強不要》は世界の常識からズレている
「『文武両道』は日本の言葉ですが、日本では『トップを目指す選手は勉強しなくてもいい』というのがいまだに現場の常識。高校も大学もスポーツ推薦で入れる学生は勉学への高い意欲を持ちにくい。以前、日本大学でアメフト問題が起きた際、日大の教授が『スポーツ推薦の学生は向学心が低いのに、大会で優勝すれば褒められる。そういう場所を大学が提供していること自体が問題ではないか』と話していました」
NCAA(全米大学体育協会)は大学で一定の成績(各科目の平均値が100点満点で70点以上など)をクリアしなければ練習に参加できない、試合に出られないなどのペナルティを設け、学業とスポーツの両立を制度化。スポーツに関わる時間も1週間で20時間以内に制限している。これは全体練習だけでなく、ミーティングも含まれる。
「日本でも『成績が良くないと入れない』と言われる学校がありますが、実際には通知表で『オール3』でも推薦が取れるケースが少なくありません。ハードルはかなり低い。世界では、1970~80年代に、女子テニスのトップ選手が薬物や男女トラブルを起こしたことを発端に、『スポーツの結果より勉強や人間形成が重要な時期がある』というのが賢明な親の共通認識になった。翻って日本は今でも、五輪でメダルを取れば人気タレントになってそれがアスリートとして最高の場所のように扱われる。考え方に世界とは大きな差があります」(小林氏)