「今日より明日は少しはマシになる」と信じる希望の思想
「プラグマティズム入門講義」仲正昌樹著
「実用主義」や「道具主義」などと呼ばれ、「アメリカの哲学」という通称から何かと誤解されてきたプラグマティズム。
だが、著者によれば「実用的」とは「賢く振る舞うための規則」を知っていること。カント流の道徳的な「人倫の法則」は無条件に「~しなければならない」とするが、実用主義の「怜悧の法則」では「~したければ~せよ」と思考する。こういう態度は理科の実験のような実際的・経験的な知性となじみやすく、観念的な理屈に走らず現実的な社会改革をめざす態度にもつながっていく。「入門講義」を多数手がける著者ならではの書物版哲学教室。
(作品社 2000円+税)