著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

まず手を洗い、正座して深呼吸

公開日: 更新日:

「夜の木」バッジュ・シャームほか著、青木恵都訳

 かねて話題の書。品切れが続いていた。時期が良かったせいか、ネット書店を通して入手、やっと実物に触ることができた。

 中央インド出身、ゴンド民族の3人のアーティストによる美術書。木に宿る精霊の物語集である。その画風、自由闊達。黒をバックに精緻かつ伸びやかな線で描かれ、絵画の見応え、丁寧な造本、一冊ずつ記されたシリアル番号を思うと、絵本ではなく「画集」と呼ぶにふさわしい。本好きにはたまらない、所有欲をくすぐる仕上がりだ。現在第4刷。増刷のたびに表紙の絵柄が変わるのも魅力。熱烈なコレクターもいると聞く。ちなみに日本語版もインドで制作されている。

 ぞんざいな扱いは失礼と、まず手を洗う。正座して深呼吸、おずおずとビニール袋から本体を取り出せば、せっけんや「お香」を思わせる香りが鼻を突く。

 エスニックで強烈な香りに酔いながら、ページをめくりゆく幸福感。全ページが黒い特殊紙と気づく。手すきの紙で配合も独特、目を凝らすとページごとにムラ、キズ、ゴミがある。しかしそれらが「一点もの」の魅力に一役買っている。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる