「美森まんじゃしろのサオリさん」小川一水著
交番もない限界集落の美森町で、何か事件が起こると登場するのが〈町立探偵〉の貫行詐織と岩室猛志。今回は死体が動いたという知らせが。樫原家で、腎臓病で亡くなったおばあちゃんを座敷に寝かせておいたのに、翌朝、畑のあぜのエノキの枝を利用して作ったブランコに乗っていた。昔、お嫁に来たばかりのおばあちゃんのために作ったブランコを、最近作り直したという。あぜにはおばあちゃんと、捜しにきたおじいちゃんの足跡しかない。おじいちゃんは最期にブランコに乗りたかったおばあちゃんを、〈ふしみさん〉が助けたと言うが……。(「まんじゃしろのふしみさん」)
2人の探偵が謎めいた事件を解決する短編5編。(光文社 1500円+税)