【ハラスメントいろいろ】セクハラにパワハラ、最近ではモラハラやマタハラも加わった「ハラスメント百態」。
「働く女性とマタニティ・ハラスメント」杉浦浩美著
大手出版社の編集者として2度の出産を経験した著者。その後、大学院に入って本格的な研究の道へ。本書はその博士論文を公刊したもの。長年の社会経験と母親の実体験の双方から書かれたものだけに、難解な内容でも具体性がある。
妊娠は母体特有の症状に加えて個体差も大きいが、男女平等を意識するあまり妊娠した本人が個別事情を主張しにくくなるということもある。職場に長年はりめぐらされてきた「男たちの絆」の弊害を指摘し、多数のインタビューによって女性や母体の多様性を明らかにする。本書がきっかけになって「マタハラ」が流行語になった。(大月書店 2600円+税)