【現代医療の素顔】難病予防から移植手術、不妊問題まで現代医療のさまざまな素顔に迫る

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「ルポ生殖ビジネス」日比野由利著

 出産年齢の高齢化にともなって深刻化する不妊問題。国内では体外受精は結婚した身で配偶者とでないと認められないが、海外なら可能。それゆえ卵子提供や代理出産などの「生殖ビジネス」がグローバルな規模で急拡大しているのだ。本書はその実態を広く取材し、出産ビジネスの盛んなインドやタイ、ベトナムにも現地取材したルポ。

 世界で初めて代理出産を合法化したイスラエルでは、非合法のゲイカップルが子どもを欲してタイにやってくる例なども多いという。他方で各国の法制度が異なるため、生まれた子どもが無国籍になってしまう悲劇も。

 著者は生命倫理学を専門とする社会学者だが、取材は綿密かつ具体的で、ノンフィクション・ジャーナリズムとしても大いに読みごたえがある。副題は「世界で『出産』はどう商品化されているか」。要するに出産がビジネスになる背景はグローバルな経済格差なのだ。「出産」を軸に現代と世界の複雑な素顔に迫った力作。(朝日新聞出版 1300円+税)

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