【現代医療の素顔】難病予防から移植手術、不妊問題まで現代医療のさまざまな素顔に迫る

公開日: 更新日:

「ルポ生殖ビジネス」日比野由利著

 出産年齢の高齢化にともなって深刻化する不妊問題。国内では体外受精は結婚した身で配偶者とでないと認められないが、海外なら可能。それゆえ卵子提供や代理出産などの「生殖ビジネス」がグローバルな規模で急拡大しているのだ。本書はその実態を広く取材し、出産ビジネスの盛んなインドやタイ、ベトナムにも現地取材したルポ。

 世界で初めて代理出産を合法化したイスラエルでは、非合法のゲイカップルが子どもを欲してタイにやってくる例なども多いという。他方で各国の法制度が異なるため、生まれた子どもが無国籍になってしまう悲劇も。

 著者は生命倫理学を専門とする社会学者だが、取材は綿密かつ具体的で、ノンフィクション・ジャーナリズムとしても大いに読みごたえがある。副題は「世界で『出産』はどう商品化されているか」。要するに出産がビジネスになる背景はグローバルな経済格差なのだ。「出産」を軸に現代と世界の複雑な素顔に迫った力作。(朝日新聞出版 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が