一冊で数倍楽しい短編アンソロジー文庫特集

公開日: 更新日:

「名刀伝」細谷正充編

 人を切る恐ろしい武器でありながらも、機能と美しさを兼ね備えた芸術品として愛され続ける「名刀」。本書は、そんな名刀を題材とした短編を集めた異色のアンソロジー。

 冒頭の浅田次郎の「小鍛冶」の舞台は現代。刀剣鑑定を生業とする男の奇談という形をとり、のっけから意表をついてくる。他にも山本兼一の刀剣商ちょうじ屋光三郎シリーズの「うわき国広」、武士階級も消滅しもっぱら鑑賞用へと転化していく刀が最後に刀としての価値を試されることになった時代のエピソードを描いた津本陽の「明治兜割り」、人の怨念や情念のこもった刀剣ならではの怪談を描いた好村兼一の「朝右衛門の刀箪笥」など全7編。日本刀というマニアックな世界を思う存分堪能したい。(KADOKAWA 780円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」