「七夕の雨闇―毒草師―」高田崇史著
能楽師の幸庵が自宅稽古場で不審死。死因は毒殺だったが、毒物の特定ができない。幸庵は、親戚でもある星祭家が宮司を務める京都・織姫神社の能楽堂で「井筒」を舞う予定だった。京都府警の村田らは、幸庵の息子・敬二郎や星祭家の面々から話を聞く。同じころ、東京の医薬品情報誌の編集者・西田は、織姫神社の宮司の姪・文香の友人で新入社員の響子に頼まれ、毒草を専門に扱い毒草師と名乗っている史紋を紹介する。史紋によると、幸庵はあらゆる毒に耐性のある「解毒斎」として彼らの間では有名だったという。そんな中、敬二郎も何者かに毒殺される。
事件の闇に潜む七夕伝説の謎に迫る歴史民俗学ミステリー。
(新潮社 1500円+税)