「美しい鳥 ヘンテコな鳥」川上和人監修・執筆

公開日: 更新日:

 求愛のディスプレーのため、頭の周囲を覆う真っ赤な羽毛を嘴が見えなくなるほど逆立て、ゾウアザラシのような顔になった「アンデスイワドリ」、水色のレースで編んだかのような繊細なモヒカン頭の「オウギバト」、同じ水色の頭部をしているが、こちらは羽毛ではなく頭の肌の色が水色で、体は黒地に赤と黄色の羽毛で彩られた、まるで信号機のような「アカミノフウチョウ」など。どのページを開いても、驚きと感嘆に満ちた鳥ばかりがこれでもかと出てくる。

 古名では「翡翠」と呼ばれ、宝石の名の由来ともなっている「カワセミ」も、こうした鳥たちの中に交じると、特別な鳥に見えてこなくなるほどだ。これらの過剰なまでの装飾や色調豊かな色彩は、まるで異性の気を引くために努力を惜しまぬ人間のようでもあり、そんなところも親近感が湧く理由かもしれない。

 しかし、「エトロフウミスズメ」の昭和の芸人のようなくるりと巻いた前髪は逆光の中で同種を見分けるため、「サイチョウ」の嘴の上に突き出した巨大な角は鳴き声を共鳴させる音響機材と、それぞれの役割を知ると、さらに、彼らの世界の不思議に魅せられる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    野呂佳代が出るドラマに《ハズレなし》?「エンジェルフライト」古沢良太脚本は“家康”より“アネゴ”がハマる

  3. 3

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  4. 4

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希にまさかの「重症説」…抹消から1カ月音沙汰ナシで飛び交うさまざまな声

  1. 6

    【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話

  2. 7

    「鬼」と化しも憎まれない 村井美樹の生真面目なひたむきさ

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方