「TOKYO 世界の絶品スイーツめぐり」メレンダ千春著
酒にスイーツは王道なのだ
そこそこの酒飲みを自任する男に、甘いものの話をすると――「甘いもんなんか真っ平、酒がまずくなる!」と目を三角にしてのたまうご仁がいる。ぼくに言わせれば「そなたもまだお若いのう、修行が足らん」ということになる。
たしかにビールを飲む前にイチゴ大福を食う気にはなれない。しかしチョコレートをつまみにスコッチを楽しむスタイルは昔からあるし、フレンチの食前、食後に貴腐ワインなどたしなむのは、むしろ王道だろう。
というわけで昨今、スイーツに詳しい男はポイントが高いのである。「東京で食べられる異国のスイーツ50皿!」という帯コピーが目に留まり手にしたのが、この「世界の絶品スイーツめぐり」。
ページを開いて、あらためて驚いた、というか感心してしまった。あったんですねぇ、東京には世界各国、各地のスイーツが。こんな国、世界にあるのかしら。
ともかく見てみよう。おう、これはうまそうな餅菓子? 透明で艶やかな餅の上には小豆がのっている。韓国の「トック」という祝い菓子。新大久保にある「コラボ」で食べられるらしい。フィリピンの「ハロハロ」、これは食べたことがある。ハロハロとは、まぜこぜ、とのこと。日本のクリームあんみつっぽいが、ナタデココが入っている。六本木「ニューナナイズ」にあり。
もちろん、ヨーロッパ菓子も。うわっ、なんだ、この、ふっくらした丸いドーナツは!? ポーランドの菓子「ポンチキ」。毎年ポーランド大使館で催されるポーランド祭では大人気とか。
うまそうだなぁ、このガレット! すでにおなじみのフランスの焼き菓子。この本では世田谷区北沢の「ル・ポミエ」が紹介される。スイーツは写真を見ているだけで幸せな気持ちになる。諸兄もスイーツに開眼されてはいかが?(日経ナショナルジオグラフィック社 1600円+税)