怖い話で思い切りヒンヤリ ちょっと早い「怪談本特集」

公開日: 更新日:

「招かざる客」木原浩勝著

 この世のモノではないものと遭遇するのは何も墓場や夜などに限らない。日常のほんの少しの隙間に垣間見た「なんだ、アレ……」的なものほど、人の肝を冷やすものはない。本書は、怪談作品には定評のある著者によるそんな遭遇話21話。

 たとえば、「再婚」では嫉妬深い男の霊が登場する。死ぬ間際、妻に「俺が死んでも再婚しないでくれよ」と言い残していた夫が、一度結婚に失敗した娘が再婚することになったとき姿を見せて再婚を阻止しようとした。「お母さんに言ったんじゃなかったの? お父さんは関係ないでしょ!」とキレた娘は、実家の母親と共に父の仏壇に向かって猛抗議。すると位牌の下に小さな水たまりが出来た。どうやら父親が泣いたらしい。

 もう死んでしまったけれどかつて知っていた「その人」を見たとき、誰もが驚き、信じられないといい、否定したい思いにかられる。けれど、そんなあの世とかかわったとき、なぜだか温かな気持ちになることを本書は教えてくれる。(講談社 1200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 3

    立花孝志氏の行為「調査要求」オンライン署名3万6000件に…同氏の次なるターゲットは立憲民主党に

  4. 4

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  2. 7

    オリ1位・麦谷祐介 暴力被害で高校転校も家族が支えた艱難辛苦 《もう無理》とSOSが来て…

  3. 8

    斎藤元彦知事に公選法違反「買収」疑惑急浮上しSNS大炎上!選挙広報のコンサル会社に「報酬」か

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議